語学学校において優秀な講師を確保することは極めて重要な課題です。ここでは当校が当地メキシコにて講師候補を募集、育成し、レッスンを開始するまでのプロセスを紹介します。
目次
1)講師候補の募集方法
2)面接試験
3)筆記試験
4)評価基準
5)講師養成講座
6)レッスン開始
1)講師候補の募集方法
まず、講師候補を募集する方法を紹介します。
近年ではではSNSを活用してFacebookなどで募集することもありますが、この方法で集まってくる層は玉石混交で、平均すると今ひとつのレベルです。
次に語学好きなメキシコ人が集まるような場所に張り紙広告を掲示する方法です。この方法でまずまずの人材が集めることができます。
さらに効果的な方法としては、弁論大会や語学イベントの優勝者、入賞者に直接アプローチする方法があります。これによりかなり優秀な人材を発掘することが可能です。
しかし、すばらしい講師候補に巡り合う何よりの方法は、語学教育界の信頼できる知人からの紹介です。この方法が最も確実で、能力的にも性格的にも優れた人材に出会えることができます。
募集時のポイントとして重要なことは、単に募集するということだけではなく、当校のスペイン語講師として働きたい方に「スペイン語講師養成講座」を開講しますと伝えることです。大学やその他機関でスペイン語教授法のコースを受けている場合でも、当校で講師として働く前に、必ず最低3ヶ月の講師養成講座を受講していただきます。
2)面接試験
講師候補には面接を実施しています。オンラインではなく必ず対面で行なっています。
最初にチェックする点は指定した時間に面接会場に来られるかどうかです。事前に時間厳守を伝えてあるので、面接への遅刻は大きな減点の対象となります。
面接では当校の説明を行なった後、いくつかの質問を投げかけ、雑談をします。ここで候補者の性格、人物像を大まかに把握します。
質問については、かつて松下幸之助氏が採用面接で「あなたは運がいいと思いますか」と聞いて「運が悪い」と応えた人はどんなに学歴が素晴らしくても採用しなかったと知り、当校でも同様の質問を候補者に行ってきました。
ところが10人中10人が「自分は運がいい方だと思う」と答えます。これはメキシコ人の素晴らしい面で、日本人も学ぶべきですが、同じような答えしか返ってこないため、もうこの質問はやめました。
3)筆記試験
面接の直後にその場でスペイン語の知識に関するテストを実施しています。面接でいくら能力をアピールしても、実力がともなわなければ言葉に関する素養がこのテストで明らかになります。実際、面接で与える印象と筆記試験結果が一致しないケースもあります。
大学の学位を持っているにもかかわらず、基本的な文法事項がわからない応募者が一定数、と言いますかかなりの数います。
人文系の専攻でない場合はある程度しかたないことかもしれませんが、一般の学校の教師経験者であっても、さらには語学学校の講師経験者であっても、文章の主語がわからない場合があることには驚きます。
4)評価基準
大学の学位は持っているに越したことはありませんが、絶対的な要件とはしていません。学位よりも言葉に対する感覚が鋭敏な人材や、人にものを教えることに向いた人材を優先的に選考しています。
語学に関するすばらしい知識を有していても、学習者の立場に立たずに自分に知識を披露することだけ終始しようとする応募者がたまにいますがこれはNGです。
当校の受講生は主にビジネス界の一線で活躍されているビジネスパーソンであるため、一般の語学学校より顧客サービスの視点をもつように努力しています。上記のようなタイプの候補者は、どこの学校でも望ましくない存在ですが、特に当校の講師としては適していないと考えます。
このため私たちは「職業人としての行動方針」として「有能であるより有用であれ」を掲げています。(「ミッション、ビジョン、バリュー」参照)
以上の評価基準をクリアーしたなら、次は候補者に講師養成講座への参加をお願いしています。
5)講師養成講座
すでに述べました通り、大学やその他機関でスペイン語教授法のコースを受けている場合でも、当校で講師として働く前に、最低3ヶ月の講師養成講座を受講していただきます。
彼ら/彼女らは教授法に関しては豊富な知識は持っていますが、それだけでは十分ではありません。
この養成講座では、スペイン語講師として必要な知識に加えて、当校で働くための心構えも学んでいただきます。
養成講座期間中は候補者の行動や振る舞いを観察します。面接や知識テストだけではわからない面もあるからです。
面接で受けた第一印象は概して正確で、その後その印象が裏切られることはあまりありません。しかし例外もあり、養成講座期間中に候補者の様々な側面が浮かび上がってきます。
養成講座を修了し、当校の講師としてレッスンを行える能力が身についたと判断されれば、生徒を割り当てます。当社ではレッスンの大半がプライベートレッスンとなるため、生徒は徐々に一人ずつ割り当てていきます。
6)レッスン開始
上記のプロセスを踏んで候補者はレッスンを開始し、正式に当校のスペイン語講師としてデビューします。講師は皆スペイン語を教えることが好きで、やりがいを感じながら授業を行なっています。一定レベルの教授法、心構えを身につけたならば、スペイン語を教えることに楽しむことができる講師が最良の人材と言えます。
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