top of page

ワンランク上のスペイン語 #4 適切なフィードバック

広瀬明久

更新日:2024年10月15日

フィードバックは、ビジネスにおいて成長や改善を促す重要な要素です。しかし、その伝え方には慎重さが求められ、とりわけ異文化環境では、相手の文化を尊重したアプローチが重要になります。言葉の選び方や伝え方によって、フィードバックが建設的なものになり得ますが、逆に誤解や反感を招くリスクもあります。スペイン語圏では、フィードバックを行う際、相手の面子を保ちつつ、ポジティブな対話を心掛けることが大切です。

 

今回は適切なフィードバックを行う際に役立つフレーズを紹介し、異文化理解の視点を交えながらその重要性を考察します。



Entiendo que diste lo mejor de ti, y me gustaría discutir algunas áreas de mejora.

(ベストを尽くしたことは理解しています。いくつか改善点について話し合いたいです。)

相手の努力を認めつつ、改善点を話し合う姿勢を取ることで、相手の面子を保ちながらフィードバックできます。相手の仕事を認めて、自分の意見を言うときは、pero(しかし)の代わりに、y(そして)を使うと、ポジティブな流れを保ちながら意見を伝えることができます。 


Hay mucho que valorar en tu trabajo, solo creo que sería mejor si...

(あなたの仕事には評価すべき点がたくさんあります。ただ、もし...だったらもっと良くなると思います。)

ポジティブな部分を強調しつつ改善点を提示するバランスが取れた表現です。


Me encanta tu enfoque, y al mismo tiempo podríamos explorar otras opciones también.

(あなたのアプローチは素晴らしいですが、同時に他の選択肢も探ってみるといいかもしれません。)

相手のアプローチを肯定しつつ、新しいアイディアの提案をします。


A tu edad, ni siquiera estaba cerca de lograr lo que tú ya has conseguido.

(あなたの年齢の時、私はあなたがすでに達成していることにすら近づいていなかったよ。)

場合によっては、相手を十分持ち上げてから、本題に入ってもいいでしょう。


Tu capacidad de adaptación siempre ha sido una de tus mejores cualidades, y si continúas así, lograrás adaptarte incluso a las situaciones más difíciles."

(あなたの適応力は常にあなたの最も優れた特質の一つです。このまま続ければ、最も困難な状況にさえ適応できるようになるでしょう。)

相手の能力を認め、その強みを活かし続ければどんな困難にも対応できると伝える表現。美点を強調しつつ、未来への期待を表明します。


少し厳しめのフィードバックが必要な場合

 

Creo que este resultado no cumple con lo que esperábamos, y debemos hablar sobre cómo mejorarlo.

(この結果は期待に応えていないと思います。どう改善するか話し合う必要があります。)

期待に沿わない結果を率直に伝えつつ、改善策を共に考える姿勢を示します。

 

No estoy satisfecho con el resultado actual, necesitamos hacer cambios significativos.

(現在の結果には満足していません。大きな変更が必要です。)

厳しさを示しつつ、改善が不可欠であることを明確に伝える表現です。necesitasでなくnecesitamosを使うことで協力の姿勢を強調しています。


フィードバックの重要性と文化的背景

 

フィードバックを行う際には、相手のもっている文化的背景を考慮することは重要です。スペイン語圏、特にメキシコでは、人前でネガティブなフィードバックをすることは避け、個別に話し合うことが基本です。

 

メキシコ人からは「日本人は仕事でミスを犯した時はすぐに指摘するが、良いことをしたときにねぎらいの言葉が少ない」と言う声がよく聞かれます。彼らは日本人が想像する以上にフィードバックを求めています。仕事のミスを指摘するだけでなく、相手の良い部分もしっかりと伝えることは、信頼関係の構築に繋がります。

 

かのデールカーネギーはその著書「人を動かす」の中で、フィードバックの際に相手の自尊心を傷つけないことを強調しています。まず、相手の良い点を褒め、次に改善点を述べることを推奨しています。また、命令形を避け、自発的な改善を促す質問形式を用いることで、相手が自分から改善しようと感じられるようにするのが効果的としています。

 

これは文化の違いを超えた、普遍的な真実と言えるでしょう。従来の日本式の「うまくやって当たり前、叱責が中心」というアプローチは世界では通用しません。

 

今回紹介したフレーズは、相手の面子を守りながら、建設的な対話を促すためのものです。フィードバックの場面では、相手がポジティブな気持ちで改善に向けて取り組めるよう、適切な言葉を選ぶことが重要です。相手を理解し、尊重することで、より良いコミュニケーションが生まれるでしょう。

 

Comments


bottom of page