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広瀬明久

何でも起こりうる −ビジネス IN メキシコ −

更新日:2022年1月30日

「メキシコという国を一言で言い表せ」と言われたら、あなたなら何と答えますか?

私なら、「何でもありの国」と答えます。

日本人の発想から外れたことがこの国ではよく起こるからです。いいことも悪いことも。

ビジネスにおいて、多くの日系企業は、程度の差こそあれサプライズを経験しているはずです。私が直接携わった案件だけでも相当数あるので、実際の数は計り知れません。ネガティブなケースは表沙汰にはならないからです。日本では名だたる企業が、海外でいとも簡単にだまされてしまうなどとはカッコ悪くて言えません。

メキシコでの経験が長い日系企業であれば、過去の経験から大きな失敗はしにくい体制が構築されています。しかし進、出間もない企業は本当に注意が必要です。

具体的な例を紹介したいのですが、日系企業については何かと差し障りがあるので、メキシコの会社で実際に起こったケースを紹介します。

モンテレイに本拠を置く財閥系のある製造会社が、日本の同業の企業から技術支援を受けていたときのことです。日本から定期的に支援チームが送られてきていました。私は毎回、そのチームのコーディネーター兼通訳として参加していました。

その会社ではインクを大量に消費していましたが、支援チームのリーダーがインクに関連したデータに不自然な点があることを発見しました。その不自然さは一定の間隔をもって繰り返されていました。調べていくと、どうもインクの購入責任者が怪しいということになり、徹底的な裏付け調査を行ったところ、決定的な証拠が浮かんできました。

その責任者はインク業者と結託して購入していないインクを購入したことにし、差額は自分の懐に入れていました。購入金額と消費量が合うわけがありません。

即刻クビとなりました。

不正を暴かれたその犯人は、相当な恨みをもったはずです。それまで定期的に得ていた不正な大金と給料が一度に消えてしまったのだから。

ひとまずその日の仕事を終え、日本人チームと一緒に宿泊先だった当時の日航ホテル(現Hyatt)へ向う途中、思わぬ事件が起こりました。チームを乗せて運転していた私の車のガラスが割られ、チームのリーダーが出血。何が起こったのか!?

車の流れが早い環状線上だったので、その場ですぐに車はとめられず、脇道に入ったところで駐車して止血を試みました。どうもリーダーめがけてモノ(石?)が投げられたようです。銃弾でなくて本当によかった…。

翌日、会社で前日に起こったことを説明し、車の修理費は会社の負担になりました。

そのとき、その会社の工場長がコッソリ教えてくれました。メキシコではそんな不正は珍しくない、業者の側からもいろいろしかけてくると。例えばインク業者であれば、インクの缶の中にコインをしのばせ、その業者のインクが他社に比べていいと作業員に証言させたりする…等々。

日系の自動車メーカーに勤めていた経験もあるその工場長は、日本人のあなたたちには想像もできないような手口が沢山あるとこぼしていました。

本当に何でもありの国です。 日本人である私がそう感じるのは、日本という国ではすべてに同調圧力が働いていて、想定外のことが起こりにくい体質ができあがっているからかもしれません。

メキシコでビジネスを行うのなら、何でも起こりうるということを意識しておくと、何かの時に助けとなるでしょう。


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