メキシコの会社に初めて出社した時に驚いたことは、何と言っても朝の挨拶でした。
職場に着くと、男女社員が頬にキスをしあっているではありませんか。セクハラが横行している?いや、女性も愛想よく応じています。というか、むしろ女性の方が積極的。よく観察すると、男女間だけでなく女性同士もキスで挨拶をしています。
これはスペイン語圏ではあたりまえの光景です。最初はこのような習慣に馴染めずにいましたが、少し経つと朝の儀式のようなものであることがわかってきて、私も儀式に参加させてもらうことになりました。
今回は出社時、退社時の挨拶に使うフレーズを紹介します。
まず出社時の挨拶。
¡Hola! オラ
Buenos días. ブエノス ディアス(おはよう)
¿Cómo estás? コモ エスタス(元気? 調子はどう?)
Buen día. ブエン ディア(よい一日を)
Excelente día エクセレンテ ディア(素晴らしい一日を)
¡Hola!は英語のHello!に相当するカジュアルな表現。
Buenos díasはメキシコなどでは正午まで、スペインでは昼食(14時頃)前まで使い、それ以降はBuenas tardes ブエナス タルデスと言います。
Buen díaをBuenos díasの代わりに使う人も。
¿Cómo estás?は英語のHow are you?に相当。
相手が目上の人に場合は¿Cómo está? と言います。
調子はどう?に対する返答例
Muy bien. ムイ ビエン(元気です)
Regular. レグラル(普通です)
Más o menos. マス オ メノス(まあまあです)
Muy mal. ムイ マル(最悪です)
普通はMuy bien、 多少調子が悪くてもBienと答える場合が多いようです。
RegularやMás o menosという答えでは、調子はあまり良くないと考えたほうがよいでしょう。Muy malに至っては最悪中の最悪。
「よい一日を」と言われた時に返す言葉として便利なのが
Igualmente イグアルメンテ(あなたもね)
ちなみに英語圏でHow are you? と聞かれてI am fine, thank you. And you?と返すのはダサいそうですがスペイン語圏では大丈夫です。
会話例 1
Rosa: Hola, Ichiro. Buenos días.
Ichiro: Buenos días, Rosa.
(Beso)
Rosa: ¿Cómo estás?
Ichiro: Muy bien, gracias ¿y tú?
Rosa: También bien, gracias.
Ichiro: Buen día.
Rosa: Igualmente.
ロサ: 一郎さん、おはよう。
一郎: ロサさん、おはよう。
(キス)
ロサ: 調子はどう?
一郎: とてもいいよ。君は?
ロサ: 私もよ。ありがとう。
一郎: いい一日を。
ロサ: あなたもね。
続いて退社時に使えるフレーズをご紹介します。
Me retiro. メ レティロ(退社します)
Adiós. アディオス(さようなら)
Hasta mañana. アスタ マニャーナ(また明日)
Hasta luego. アスタ ルエゴ(また後ほど)
Qué descanses. ケ デスカンセス(お疲れ様、(ゆっくり)休んで)
Buen fin de semana. ブエン フィン デ セマーナ(よい週末を)
Adiósは長らく会うことがないような場合でも、またすぐに会う場合にも使えます。
Hasta 〜は、〜の部分に次に合う時までの期間や時間を入れます。Hasta luegoは数時間後に会う場合でも、数日後(あるいはそれより後)に会う場合にも使えます。
会話例 2
Ichiro: Ya me retiro.
Rosa: Muy bien. Yo también.
Ichiro: Hasta mañana.
Rosa: Adiós, hasta luego.
Ichiro: Que descanses.
Rosa: Gracias, igualmente.
一郎: もう帰ります。
ロサ: そう。私も帰るわ。
一郎: また明日
ロサ: さようなら、またね。
一郎: お疲れ様。
ロサ: ありがとう。あなたもゆっくり休んでね。
上記文ではMuy bienは「元気です」ではなく了解を表します。
冒頭で紹介した朝の儀式には驚きましたが、この朝の儀式がどの会社でも行われているかというとそうでもなく、会社の文化やそこで働いている人の性格にもよります。
ついでに、スペイン語圏では男性が女性の気を引き褒め称える「ピロポ piropo」という習慣がありあす。詩的なものから下品なものまでさまざまですが、長い間、美点ともいえるおふざけの方法と考えられてきました。
ところが、近年ではアメリカから輸入されたセクハラという概念の影響と思われますが、人々の意識は少しづつ変わってきています。グローバル化の波はこういった面にも現れてきているようです。
メキシコではセクハラに関する法律も州ごとに制定され、セクハラで訴えられるケースも出てきています。今のところ社内キス挨拶の禁止を例示する法律はないようですが、この先どうなるかわかりません。男性は注意が必要です。(キスの主導権は女性側にあります。男性が地位を利用して強要したなどと訴えられれば不利になります。)
挨拶は気持ちよく爽やかに、が基本です。
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