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ワンランク上のスペイン語 #12  上司への報告 − 悪い知らせを伝える

仕事では、上司に良い報告だけでなく、納期の遅れや作業上のミス、顧客からのクレーム、予想外のトラブルなど、できれば伝えたくない内容を報告しなければならない場面もあります。


そのような時、「怒られるかもしれない」「もう少し様子を見てから伝えよう」と考えてしまうことは少なくありません。しかし、報告が遅れることで、かえって状況が悪化してしまうこともあります。


メキシコをはじめラテンアメリカの多くのスペイン語圏では、悪い知らせを伝える際、いきなり本題に入るのではなく、まず短い前置きを添えて切り出すことがよくあります。また、問題だけを伝えるのではなく、「現在どのような状況なのか」「今後どのように対応する予定なのか」まで併せて伝えることで、相手に安心感を与え、誠実に対応しているという印象につながります。


今回は、上司へ悪い知らせを伝える際に役立つスペイン語表現をご紹介します。


 

1. まずは報告の前置きをする


Quisiera informarle sobre una situación importante.

(重要な状況についてご報告したいことがあります。)

Necesito comentarle un tema relacionado con el proyecto.

(プロジェクトに関してご報告したいことがあります。)

Hay un punto importante que considero necesario informarle.

(ご報告すべき重要な点があります。)


いきなり本題に入るのではなく、一言前置きを添えることで、相手に心の準備をしてもらい、話を切り出しやすくします。


2. 事実を客観的に伝える


Se detectó un retraso en la entrega.

(納品の遅れが発生していることが分かりました。)

Se presentó un inconveniente durante el proceso.

(作業中に問題が発生しました。)

No pudimos cumplir con el plazo previsto.

(予定していた期限までに完了することができませんでした。)

El cliente nos informó que hubo un error en la documentación.

(書類に誤りがあったと、お客様から連絡がありました。)

Recibimos una observación por parte del cliente.

(お客様からご指摘をいただきました。)


報告では、まず感情や言い訳ではなく、事実を簡潔に伝えます。日本では謝罪から話し始めることが少なくありませんが、スペイン語圏では、まず状況を客観的に説明することが重視されます。謝罪が必要な場合でも、事実を整理してから伝える方が自然です。


「問題」はスペイン語で problema と表現でき、メキシコでも一般的に使われます。ただし、相手を強く責める印象を避けたい場合や、問題を穏やかに伝えたい場合には、situación(状況・事態)、tema(案件・懸案事項)や inconveniente(不都合・支障)といった、より間接的な表現が使われることもあります。問題の内容や深刻度に応じて使い分けることができます。

(詳しくは「ワンランク上のスペイン語 #10 問題が起きた時に冷静に指摘する」参照)

 

3. 影響を説明する


Esto podría afectar el calendario del proyecto.

(これにより、プロジェクトの日程に影響が出る可能性があります。)

Esto está generando un retraso en el siguiente proceso.

(これにより、次の工程に遅れが生じています。)

Existe el riesgo de que la entrega se posponga.

(納品が延期になる可能性があります。)

Por el momento, el impacto parece limitado.

(現時点で影響は限定的と思われます。)


「業務にどのような影響があるのか」を共有することも大切です。影響の大きさを簡潔に伝えることで、上司は適切な判断をしやすくなります。

 

4. 現在の対応状況を伝える


Ya estamos trabajando para resolver la situación.

(現在、状況の改善に向けて対応を進めています。)

Estamos revisando las causas para evitar que vuelva a ocurrir.

(再発防止のため、原因を確認しています。)

Ya contactamos al cliente para darle seguimiento.

(すでにお客様へ連絡し、対応を進めています。)

Estamos coordinando con el área correspondiente.

(関係部署と調整しています。)


悪い知らせは、対応状況と合わせて伝えることが重要です。「問題があります」で終わるより、「すでに対応しています」と続けることで、責任感のある印象を伝えやすくなります。

 

5. 今後の見通しを伝える


Esperamos tener una solución para mañana.

(明日までには解決策が出せる見込みです。)

Le compartiremos una actualización en cuanto tengamos más información.

(追加情報が入り次第、ご報告いたします。)

Consideramos que podremos corregir el error hoy mismo.

(本日中に誤りを修正できる見込みです。)

Estamos revisando cuál sería la nueva fecha de entrega.

(新しい納期がいつになるか確認しています。)


上司が知りたいのは、「いつ、どのように解決するのか」です。スペイン語圏では、状況が確定していない段階では、esperamos や consideramos を用いて「現時点での見通し」として伝えることがよくあります。

 

6. 上司の判断を仰ぐ


Quedo atento a sus indicaciones.

(ご指示をお待ちしております。)

Quedo pendiente de sus comentarios.

(ご意見をお待ちしております。)

¿Cómo considera que deberíamos proceder?(どのように進めるのがよろしいでしょうか。)

Si lo considera conveniente, podemos revisar otras alternativas.

(必要であれば、別の対応策も検討いたします。)

Mi propuesta es contactar al cliente hoy mismo. ¿Le parece adecuado?

(本日中にお客様へ連絡したいと考えていますが、いかがでしょうか。)

Considero que esta sería la mejor opción, pero me gustaría conocer su opinión.

(私としては、これが最も適切な選択肢だと考えておりますが、ご意見をお聞かせいただければ幸いです。)


自分だけでは判断できない場合は、上司の指示や意見を仰ぎます。ただし、単に判断を委ねるだけでなく、自分なりの提案や考えも添えて相談すると、より主体的でプロフェッショナルな印象になります。


メールなどでも、Quedo atento a... や Quedo pendiente de... という表現はよく使われます。どちらも相手からの返答を待つ際に使えますが、ニュアンスには若干の違いがあります。

Quedo atento a... は、相手からの指示や連絡に注意を向け、すぐに対応できるよう待っているという意味合いがあります。一方、Quedo pendiente de... は、相手からの返答を待ちながら、その件を引き続き気にかけているというニュアンスがあります。

また、メキシコでは Quedo atento.  Quedo pendiente. とだけ言っても、「ご連絡をお待ちしています」という意味で使われます。文脈によっては、日本語の「引き続きよろしくお願いします」に近い締めの表現になります。


相手からの返答を待つ表現としては、Estaré en espera de...Quedo a la espera de... も現在でも使われています。ただし、Quedo atento a...Quedo pendiente de... の方が簡潔で、日常のビジネスメールでは自然に使いやすい表現です。

 

7. 謝罪を添える


Lamento mucho lo ocurrido.

(この度の件について申し訳なく思っております。)

Le ofrezco una disculpa por el retraso.

(遅れについてお詫び申し上げます。)

Reconozco que debimos haberlo informado antes.

(もっと早くご報告すべきでした。)

Asumo la responsabilidad de darle seguimiento a este tema.

(この件については、私が責任を持ってフォローいたします。)


Lamento... は、起きたことについて「残念に思います」「遺憾に思います」と伝える表現です。一方、Le ofrezco una disculpa... は、自分側の責任を認めて「お詫び申し上げます」と明確に謝罪する表現です。

また、Reconozco que... を使えば自分側の落ち度を認めることができ、Asumo la responsabilidad... を添えれば、その後の対応について責任を持つ姿勢を示すことができます。


異文化理解の視点


日本では、問題が発生すると、まず謝罪してから経緯を説明することが一般的です。一方、メキシコをはじめとするスペイン語圏では、自分や自分のチームに責任がある場合には適切な謝罪を行いますが、多くの場合、まず事実や状況を共有し、その後に必要に応じて謝罪を添える流れが自然とされています。


日本のように冒頭で何度も謝罪を繰り返すよりも、簡潔で誠意のある言葉で責任を認める方が、自然でプロフェッショナルな印象を与えます。そのため、上司への報告では、

  • 何が起きたのか

  • どのような影響があるのか

  • 現在どのように対応しているのか

  • 今後どう進めるのか

という流れで伝えると、分かりやすく信頼感のある報告になります。


悪い知らせは誰にとっても伝えにくいものです。しかし、事実を隠さず、対応策まで含めて冷静に報告することで、「状況をきちんと管理できる人」という評価につながります。ワンランク上のスペイン語でビジネス上の信頼を築いていきましょう。


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