NOと言えないメキシコ人

更新日:1月30日

メキシコ人は感情表現が豊かなので、Y E S、N Oがはっきりしていると思われがちです。

しかし、実際メキシコに着任してメキシコ人と一緒に仕事をした経験がある方は、意外にも曖昧な部分があることに気づくのではないでしょうか。会議などで、日本人に面と向かってN Oということは少ないと思います。

これは、メキシコ人が見解の相違において対立を好まないという性質からきています。一般にラテンアメリカ文化圏の人たちは、繊細で傷つきやすいという性質があるのです。

対立をより次元の高いものにたどり着く過程と考える西欧文化圏では、アイディアを攻撃されても人格への攻撃とは切り離して考えられると言われていますが、メキシコではそうはいきません。

日本でも相手の意見に面と向かって意を唱えることは失礼にあたります。特に地位の高い人には。

異文化マネージメントの専門家エリン・メイヤー氏は、その著書「異文化理解力」の中で、「見解の相違」の各国分布を以下のように表しています。(主要国のみ抜粋)

(この図によるとアメリカは意外に対立的ではありません。そう言えば、アメリカ人は一つのネガティブフィードバックをする場合、倍以上のポジティブフィードバックをする事が多いように思います。)


さらに、メキシコでは原則よりも人に重きを置く傾向が強いという事が言われています。ノーベル文学賞受賞者のメキシコ人作家オクタビオ・パスは、その著書「孤独の迷宮」の中で以下のように述べています。

「… 嘆かわしいことのいま一つは、原則よりもむしろ人物に重きを置くことである。我が国の政治家は、しばしば公私を混同して平気である。」

さらにその前段では以下が記されています。

「メキシコ人にとって人生はやるかやられるかの二つの可能性しかない。つまり屈辱を与え、こらしめて、攻め立てるか、その逆の立場に立つのいずれかである... 強者たちは欲得ずくの、熱烈な部下に囲まれる。権力者に対するこうした奴隷根性、特に公務を職業とする、いわゆる政治家たちの間におけるそうした態度は、このような状況から生じた嘆かわしい結果の一つである。」

メキシコ人の複雑で屈折した一面が生々しく描かれています。

日常の業務においては、お互いが曖昧な認識のまま業務を進めていくと後で大変なことになりかねないので、早めに本音を把握しておいたほうがいいでしょう。話すときは面子を潰さないように一対一で。メキシコ人は思いのほかフィードバックを求めています。


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