スペイン語圏では、さまざまなシーンでさまざま敬称が使われています。
まず、定番は以下の3つ。
Señor セニョール(男性)
Señora セニューラ(既婚の女性)
Señorita セニョリータ(未婚の女性)
省略形は、それぞれ Sr. Sra. Srta. (またはSrita.) となります。既婚、未婚を問わない英語のMissに相当する言葉は、今のところスペイン語にはありません。
基本はこの3つですが、ラテンアメリカではLicenciado リセンシアード〜、Ingeniero インヘニエロ〜などといった敬称も使います。
名前を省略して、Licenciado、Ingeniero と敬称だけで呼びかけることもあります。
これらはどういう意味かというと、Licenciadoは大学を卒業した文系の学士、Ingenieroは大学を卒業した理系の技術者のことです。
女性であれば、それぞれ Licenciada リセンシアーダ、Ingeniera インヘニエラ となります。
理系の場合はさらに細かく
男性 女性
Químico キミコ Química キミカ
Físico フィシコ Física フィシカ
Biológo ビオロゴ Bióloga ビオロガ
Arquitecto アルキテクト Arquitecta アルキテクタ
などと専門分野を敬称とすることもあります。
ちなみにDoctor ドクトールは博士号の所有者の敬称ですが、「医者」の意味でも使われます。
書くときには、Sr. Sra. Srta. 同様、よく省略形が使われます。
Licenciado/a → Lic.
Ingeniero/a → Ing.
Arquitecto/a → Arq.
Doctor/a → Dr.
敬称の使い方については日本と少し異なります。
上司でも、親しい関係にあればファーストネーム、敬称なしで問題ありません。一方、フォーマルなシーンでは、社外の人に同じ会社の人のことを言及する際、敬称を添えます。
あらたまった場面では、自分に敬称を添えることもあります。そうしないと馴れ馴れしいと思われてしまうことさえあります。
よくメキシコの日本語学習の初心者が「私はカルロスさんです」などと言ったりしますが、ここに理由があります。ただし、スペイン、その他スペイン語圏では自分に敬称を添えることは、あまりないそうなので、このような間違えはないでしょう。
敬称には苗字を添えるのが普通ですが、親しい関係にあるときはLicenciado/a, Ingeniero/aの後に名前を添えることもよくあります。
【会話例】
Carlos: Licenciado López, le presento al Licenciado Pérez.
López: Mucho gusto, Licenciado Pérez.
Pérez: El gusto es mío, Ingeniero López.
López: Licenciado, ¿podemos entrar en el tema en seguida?
Pérez: Claro que sí, ingeniero.
カルロス: ロペスさん。ペレスさんを紹介させていただきます。
ロペス: ペレスさん、はじめまして。
ペレス: こちらこそ、はじめまして。
ロペス: ペレスさん、早速ですが本題に入ってもよろしいですか。
ペレス: もちろんですとも、ロペスさん。
注)敬称には冠詞を添えますが、呼びかけの時はこの限りではありません。
El Sr. González es el dueño del club de golf.
(ゴンサレス氏はゴルフクラブのオーナーです)
Sr. González, ¿me permite un momento?
(ゴンサレスさん、ちょっとよろしいですか?)
学業のタイトルを敬称として使うことに対して、やや違和感を感じられるかもしれませんが、ラテンアメリカでは肩書にこだわりを持つ人は少なくありません。現在では状況は変わってきていますが、高等教育を受ける人の割合が今より少なく、卒業することが敬意の対象となっていた時代の名残と思われます。
-------------------------------------------------
スペイン語をビジネスレベルで
言葉を実際に使いこなすには実践的な学習、練習が必要です。
ソシエダ・インテルクルトゥラルはメキシコで25年にわたりビジネスパーソンを対象にスペイン語のレッスンを提供してまいりました。
受講生の皆様はビジネスの最前線で活躍されています。
是非お気軽にご相談ください。
Comments