人を褒めて育てるべきか、叱って育てるべきか…。これは大きなテーマで意見がわかれるところでしょう。今回はメキシコ人社員をどのように対処すると効果的かを考えてみたいと思います。
メキシコに赴任して間もない日本人は、メキシコ人を褒めすぎるとつけ上がるのではないかと考えている方が少なくないと思います。私もそのような考えで、長い間メキシコ人に接してきました。
しかし、結論から言うと、褒めること中心でいった方が良い結果が出ます。
日本は子供を安易に褒めず、叱咤激励して育てる文化。一方、欧米は子供の長所を積極的に褒めながら育てる文化です。メキシコも欧米式で、ときに子供を甘やかしているのではないかと思われるほど褒めます。したがって、メキシコ人は正面切って叱られることにはあまり慣れていません。
日系企業で働くメキシコ人からは、よく「日本人からフィードバックはないが、ミスした時にはすぐに指摘される。一方、良い仕事をした時にねぎらいの言葉がない」といった声が聞かれます。日本人からは叱られてばかりで、褒られることがないと感じているのです。
日本の会社では、ちゃんとやって当たり前、そして当たり前のことは褒めない。しかし、メキシコではちょっとしたことでも褒めます。
例えば、遅刻しないで出勤した社員にpremio de puntualidad(直訳すると時間遵守賞)を与える会社は少なくありません。遅刻しないのが当たり前で、それに対して賞を与えるのはいかがなものかと日本人は考えます。
しかし、当地では遅刻に罰則を与えるより、ポジティブな面に着目して賞を与えることの方が結果的にうまくいくことを経営者は知っています。
私もかつては運営する学校の講師を減点方式で管理していましたが、今はできるだけ褒めるようにしています。その方が本当にうまくいくのです。褒めてつけ上がるというようなことはありません。
もちろん、よくないことをした時にははっきり指摘しなければなりませんが、その時でもネガティブフィードバックとともにポジティブフィードバックをすることが重要です。ネガティブだけでは逆効果です。
そしてネガティブなことを指摘する際の注意点としては、人前で行わず、一対一で行うということ。メキシコ人は面子を潰されることを非常に嫌います。
中国語からきている面子 mianziという概念はどの文化にも存在し、その重要度は異なりますが、メキシコにおいては極めて重要です。メキシコ人の面子を潰すと、一生恨まれることになるかもしれません。
メキシコでは(と言うかおそらく世界の大部分で)、叱るより褒めた方が断然うまくいきます。叱咤中心でも許されているのは日本くらいかもしれません。その日本でも、最近ではパワハラという言葉が生まれ、時代は変わってきています。
褒めるのにコストはかからず、褒める側も褒められる側も損はありません。褒めないという理由はありません。
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