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ビジネススペイン語 #21 メキシコで株式投資を始める

更新日:2023年7月27日

日本では老後2000万円問題が浮上し、かつてないほどに投資が推奨されるようになりました。そして最近では、日本だけではなく海外での株式運用に目を向ける人も増えてきているようです。


日本人がメキシコで投資を行うことは可能でしょうか。結論から言うと可能です。しかし、日本人には少しハードルが高い部分もあります。このブログでは、メキシコでの株式投資を始めるにあたり、知っておいた方がいいであろうと思われる点を、スペイン語株式用語の説明も含め、初心者の視点から解説していきます。


目次


1)メキシコで株式投資を始める

2)株式運用でよく使う言葉

3)初心者はインデックス投資が安全

4)その他の株式投資用語

5)まとめ



1)メキシコで株式投資を始める


海外在住者は、駐在員、現地採用、現地起業家などビザの種類にかかわらず、日本の住民票を抜いて出国し1年以上海外に居住している場合、日本の証券会社での取引は不可になります。したがって、海外で株式投資をしようとする場合、主に現地の金融機関やネット証券などを通して行うことになります(労働ビザは持っていることが前提)。


まずどの機関を通して株式投資を行うかを決めなければなりませんが、伝統的な大手金融機関の場合、手数料が高くなります。これはメキシコに限らず、どこの国でも同様かと思われます。


例えばメキシコ最大手銀BBVA(スペイン系)では、基本的に株式や株式投資信託を購入する場合、購入時1%+IVA(付加価値税16%)の手数料がかかり、また売却する際も同様の手数料がかかります。売買だけで2.32%のコストです。その他維持費などの隠れコストもあります。全てのコストについて事前に十分な説明がなされず、初心者は自分で把握できていない手数料を払わされてしまっている場合もあります。


一方、最近では外国人でもネット証券のようなサービスが使えるようになり、手数料の面から考えると、桁違いに有利です。ちなみに筆者は、上記BBVAとともにeToroというトレーディング・プラットフォームを使っています。


外国の金融機関を通して株式運用を行う場合、立ちはだかるのが言葉の壁です。メキシコの金融機関、ネット証券で日本語でのサービスをサポートしているところは見当たらないので、スペイン語または英語が必須です。


2)株式運用でよく使う言葉


ただし、株式投資の基本は世界共通なので、キーワードをおさえておけば何とかなる部分もあります。


以下、株式運用でよく使うスペイン語を注意点も交えながら解説していきます。


「株式」はスペイン語でacción(英 stock)、「株式市場」は mercado de valores(英 stock market)と言います。


初心者の場合、個別株購入の判断が難しければ、多くの株や債権がパッケージになった「投資信託」という選択もあります。投資信託はスペイン語でfondo de inversión(英 investiment fund)、債券はbono(英 bond)です。全ての投資信託がいいわけではありませんが、リスクの分散を図ることができます。


ある程度の知識、経験が得られたなら、個別株への投資も面白いでしょう。投資信託はリスクを回避できるので安心ですが、ある意味ほったらかし投資なので面白みがないという声もあります。


銘柄選択にあたっては、その株式が「バリュー株」なのか「グロース株」なのかといったことがよく言われます。


「バリュー株」は企業の業績と価値と比べて、現在の株価が割安になっている銘柄のことでスペイン語でacciones de valor(英 value stock)、一方、「グロース株」は将来の業績の伸びや成長が期待されている銘柄のことでacciones de crecimiento(英 growth stock)と言います。


また、株の評価にはアルファベット3文字からなる指標がよく使われます。最初はとっつきにくいのですが、評価において避けて通れないものなので代表的ものを挙げておきます。英語の頭文字がそのまま使われ、わざわざスペイン語には訳さないことも多いのですが、一応スペイン語訳も添えます。


PER (Price Ernnings Ratio) 「株価収益率」 relación precio-beneficio

株価/一株当たりの純利益率で求められます。株価が割安かどうか判断する指標。


ROE (Retuen on Equity) 「自己資本利益率」 rendimiento para los accionistas

会社が自己資本をどれだけ有効に活用しているかを示す指標


EPS (Ernings per Share) 「一株あたり当期純利益」 beneficio por acción


株式などで得られる利益には「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」があります。

「キャピタルゲイン」は保有していた株式を売却することによって得られる売却益で、スペイン語ではganancia de capital(英 capital gain)、これに対し「インカムゲイン」は主に継続的に得られる配当収入のことで、ingresos por dividendos(英 dividend income)と言います。ちなみに「インカムゲイン」は和製英語です。


利益または損益が確定していない時点での「評価損益」はスペイン語でGanancias/pérdidas no realizadas (英 unrealized gains and losses)と言います。「含み益」はganancias no realizadas(英 unrealized gains)、「含み損」は pérdidad no realizada(英 unrealized loss)。利益が確定していない間は、株価が上がっても(含み益を得ても)税金は発生しません。


株式や投資信託購入の際は、あらかじめいくらまで株価が上がったら利益を確定するか、どこまで下がったら損益を確定するかするか決めることができます。利益を確定することを「利食い」、損益を確定することを「損切り」と言いますが、それぞれスペイン語でtoma de ganancias、límite de pérdidaと言います。ただし、英語のtake profit 、stop-lossがそのまま使われる場合も少なくありません。


また、株式取引などをする際、CFDという言葉をよく目にします。これはContract for Differenceの略で、日本語では「差金決済取引」となります。実際の株式のやり取りはしないで株を買ったことにしておいて、最後に買った時と売った時の差額だけをやり取りして、終わったことにする取引のことです。スペイン語ではcontrato por diferenciaとなりますが、そのままCFDで通じます。


CFDのメリットの一つは、レバレッジをかけて自己資金以上の取引ができるということですが、同時に自己資金以上の損失を抱えてしまうこともあるので、初心者は注意が必要です。「レバレッジ」はスペイン語でapalacamiento (英 leverege)と言います。


また、取引の際はそれが原資産であるかどうかということも留意すべきですが、原資産とは株式、債券などのことで「金融派生商品」(デリバティブ)の元となるものです。スペイン語でactivo subyacente(英 underlying asset)と言います。


購入する個別株や投資信託など金融商品を組みあわせて作ったものが「ポートフォリオ」です。スペイン語でportafolio (英 portfolio)と言います。その構成によって運用成績が大きく変わります。



3)初心者はインデックス投資が安全


先に「ある程度の知識、経験が得られたなら、個別株への投資も面白い」と記しましたが、相当慣れてからでないと個別株単体で利益を出すことは困難です。ビギナーズラックはあるかもしれませんが、プロでも常に勝てるわけがありません。


やはり、リスクが分散されている投資信託が安全かつ堅実です。投資信託には「アクティブ運用」と「パッシブ運用」があります。


前者はスペイン語でgestión activa (英 active management)。目安となる株価指数を上回る成績を目指す運用スタイルです。株価指数とは、取引所全体や特定の銘柄群の株価の動きを表すもので、スペイン語ではíndice de mercado de valores あるいはíndice bursátil(英 Stock Market Index)と言い、日経225 、N Yダウ、NASDAQなどの株価指数が有名です。


後者はgestión pasiva (英 passive management)と言い、目安となる株価指数に連動する運用成果を目指す運用手法のことで、この手法による投資信託は「インデックスファンド」fondo indexado(英 index fund)と呼ばれます。


投資哲学の名著とされる「ウォール街のランダムウォーカー」(バートン・マリキール著)や「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス著)では、インデックス投資の優位性がこれでもか、これでもかと力説されています。現在の株式市場は、昔と違いプロの投資家が市場取引の90%を占め、市場自体がプロの判断が織り込まれた結果であるため、市場平均を上回ることは極めて困難とのことです。また、アクティブ運用は専門家による情報収集や調査、分析などのコストが加わるため、手数料が高いことも不利になる要因とされています。


したがって、飛び抜けた才能の持ち主でない限り、インデックス投資が株式投資の王道と言えそうです。これなら初心者でも安心です。


かのウォーレン・バフェットも「低コストのインデックス投資は投資家の大多数にとって最も聡明な投資だ」と言っています。


近年では、投資信託を株式市場で株式同様に取引できる上場投資信託ETF (Exchage Traded Fund)に人気が集まっています。スペイン語ではfondo de inversión cotizadoと訳されますが、ほとんどの場合、ETFとそのまま英語の頭文字が使われています。



4)その他の株式投資用語


その他、よく使われる株式投資用語を挙げておきます。


・複利 interés compuesto (英 compound interest)

・単利 interés simple (英 simple interest)

・ハイリスク・ハイリターン alto riesgo y altas ganacias (英 high risk and high return)

・分散投資 inversión diversificada (英 diversified investiment)

・ドルコスト平均法 promedio de costo en dólares. (英 dollar cost averaging DCA) 

 一定額を定期的に積み立てていく投資方法。金融商品を安いときには多く買い、

 高いときには少なく買うというメリットがあります。

・リバランス reequilibrio (英 rebalance)

・ポジション(建玉)posicion (英 position)

・ポジションをとる Abrir posiciones (英 open posisions)

・テクニカル分析. análisis técnico (英 technical analysis)

・ファンダメンタル分析 análisis fundamental (英 fundamentals analysis)

・アセットアロケーション(資産配分) asignación de activos (英 asset allocation)

・相場 precio de mercado (英 market price)

・暴落 caída de bolsa de valores (英 stock market decline)

・デリバティブ(金融派生商品)

productos financieros derivados(英 financial derivative products)

デリバティブには主に以下の3つがあります。

 先物取引 contrato de futuros (英 futures contract)

 オプション取引 opción financiera (英 option)

 スワップ取引 permuta financiera (英 swap)

・PBR(Price Book Value Ratio)株価純資産倍率(解散価格) 

 relación precio-valor contable 株価/一株あたりの純資産で求められます。

・BPS (Bool Value per Share) 一株あたり純資産 valor contable por acción

・ROA (Return on Assets) 総資産利益率 rendimiento sobre los activos

 会社が総資産をどれだけ有効に活用しているかを示す指標


5)まとめ


聞きなれない専門用語のオンパレードといった感じで、とっつきにくいと感じられる方もいらっしゃるでしょう。筆者も最初はとてもじゃないけどマスターできそうもないと降参モードでした。しかし、その都度意味を確認し、入門書を読んでいくうちに少しずつわかってきたように思います(まだまだですが)。


現時点で自分なりに達した結論として、初心者にとって(あるいはほとんどの人にとって)最も堅実な株式投資方法は、低コストのインデックス・ファンドに定期定額積み立てのドルコルト平均法で投資をすることです。面白みに欠けるかもしれませんが、これが成功する確率の最も高い投資法と言えそうです。


以上、株式投資のプロでない筆者が、当地メキシコでの経験をもとに、自身がひっかかった点を中心に知識の整理の意味も含めまとめてみました。メキシコで、あるいはスペイン語圏での株式運用に関心がある方々の参考になりましたら幸いです。


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